ウィルテクト補中益気湯というお薬をご存知でしょうか?
うたい文句には「ウイルスの季節に」という言葉が使われているお薬なんですが、今の時期にこの言葉を聞くと、新型コロナウイルス対策になるの?と、思ってしまいますよね。
しかも、なんだか効きそうな難しい漢字が使われています。
この”ウィルテクト補中益気湯”という薬、いったいどのようなお薬なのでしょうか。
ウィルテクトとは?
”補中益気湯”という漢字は「ほちゅうえっきとう」と読みます。
”ウィルテクト補中益気湯”というお薬は、あの小林製薬さんから販売されているお薬です。
小林製薬といえば、当ブログではすっかりおなじみのメーカーさんになっていますよね。
さて、「ウィルテクト」というネームには”シリーズ”との言葉がついています。
つまり正式には、ウィルテクトシリーズの”補中益気湯”ということになります。
小林製薬の公式HPには、「ウィルテクトシリーズ」とは、
”ウイルスがいる世界を生き抜くために、一歩先の対策を提案します”
との説明がなされています。
ということは、やはりこのお薬は新型コロナウイルス対策ができる期待の商品なのでしょうか?
残念ながら、それは違います。
なぜかというと、”補中益気湯”というのは既存の漢方薬の種類であり、特に新型コロナウイルスの特効薬というわけではないからです。
では、なぜ ”ウイルスがいる世界を生き抜くために、一歩先の対策を提案します” という意味を持つ「ウィルテクトシリーズ」と名乗っているのでしょう…
補中益気湯とは?

それでは、漢方薬である”補中益気湯”についてご説明します。
その前に、漢方薬についての基礎知識を解説した過去の記事をご覧いただいた方が、より理解しやすくなりますので、ご案内しておきます。
さて、”補中益気湯”ですが、以下のような効能となっています。
比較的に体力がなくて弱っている人にあう、虚弱体質・慢性疲労・病中病後の体力低下などの改善治療薬
滋養強壮を目的として、これまでは主に病院で処方されてきました。
このお薬は誰にでもあうものではありません。
東洋医学でいう個人の体質=証(しょう)でいうと虚証(きょしょう)タイプの人にのみあう漢方薬です。
普段から元気な人が使ってもなんの変化も起きないでしょう。
このように、”補中益気湯”は、知識がある医者や薬剤師さんしか、正しく患者さんに処方できないマイナーな存在のお薬でした。
それを、市販薬として分かりやすくパッケージにしたのが、”ウィルテクト補中益気湯”になるのです。
実は、”補中益気湯”自体は、これまでもあらゆるメーカーから発売されていました。
業界にいれば、別に珍しくない商品になります。
ただ、切り口を変えて広告を打ち、これまであった商品に光を当てる点は、さすが小林製薬といったところです。
上にも記した通り ”補中益気湯” はウイルス対策を目的としたお薬ではありません。
とすると、「ウイルスの季節に」のうたい文句は全くのデタラメということになのでしょうか?
いいえ、実はそうでもないんです。
どういうことなのか‥説明いたします。
ウイルス対策ではない?
”補中益気湯”は、比較的に体力がなくて弱っていいる人にあうお薬であることをお話ししました。
一方、新型コロナウイルスの特徴を思い出してみてください。
ウイルスに感染された場合、重症化するのは高齢の方や基礎疾患がある人でした。
それはつまり、『比較的に体が弱っていいる人』ということになります。
ウイルス感染すると重症化の恐れがある人こそが、”補中益気湯”の対象者だといえるのです。
弱った体を元気にして、ウイルスや病気に負けない体を作る‥このことが
先に紹介した、
”ウイルスがいる世界を生き抜くために、一歩先の対策を提案します”
に当てはまるというわけです。
”ウィルテクト補中益気湯”は、ウイルスに限らず、あらゆる病気に負けない丈夫な体にする為のお薬なんです。
このことが答えとなります。
ウイルスが活性する時期、健康に自信がなく感染した時に重症化するリスクが高いと思われる人が、重症化を避けるべく服用するお薬‥が、この”ウィルテクト補中益気湯”と理解してください。
ウィルテクト補中益気湯とは?まとめ
”ウィルテクト補中益気湯”は、直接的なウイルス対策のお薬ではありません。
しかし、普段から体力がなく虚弱体質の方が、ウイルス感染による重症化を防ぐ効果は期待できます。
”証”が合わなければ効かない可能性があるので、自己判断での購入はあまりおすすめできません。
気になる方は、薬屋さんの店員に相談して検討してみてください。
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