漢方薬は身体に優しいというイメージをお持ちではないですか?
そして同時に、優しいということは効き目が弱いのでは?との印象もあるように思います。
実際のところ、どうなのでしょう?
今回は、体に優しいといわれる漢方薬の実際の効き目についてお話します。
漢方薬とは?
まずは漢方薬の歴史についてお話しします。
漢方薬は、二千年の歴史をもつ中国の中医学から生まれました。
江戸時代に中国から伝わってきたこの中医学を土台として、日本独自の発展を遂げ進化してきたのが漢方薬です。
自然界に存在する草木や花、動物の内臓や皮・角などの天然素材を細かく砕いた”生薬”(しょうやく)と呼ばれる原材料の組み合わせによって、漢方薬は処方されます。
一つ一つの生薬に薬理作用があります。
そして、そのそれぞれの薬理作用の組み合わせによって
”この症状にはこの組み合わせが効く”
ということを、長い歴史の中で実証し、症状別にあった漢方薬が作られたのです。
生薬は自然界に存在するものになります。
わかりやすい例でいうと「人参」や「生姜」も生薬の一つです。
漢方薬が体に優しいといわれるのは、食材としても使えるような天然素材が材料に使われているからになります。
漢方薬以外のお薬は化学物質から製造されているため、
「科学的に作られる薬」と「天然素材で作られる薬」
として比べられる側面もあるのです。
漢方薬の効き方

さて、体に優しいといわれる漢方薬の実力はどのようなものでしょう。
先ほども紹介した通り、漢方薬には長い歴史があります。
二千年を超える年月を経て、現在でも医療現場で処方されているという事実。
このことが答えになっています。
効かなくて実用性がないものが、長年に渡って使われるわけがありません。
優しいから効かない‥なんてことはないんです。
いや、自分が漢方薬を服用した時は効かなかった‥という経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
でもそれは、薬が効かなかったのではなく、服用方法が間違っていたり、謝った薬のチョイスをしたからだと推測できます。
例えば、最も有名な漢方薬に風邪薬の葛根湯があります。
葛根湯は、風邪の初期でゾクゾクした寒気や関節が痛む症状がある時に、決まった量を食前に服用するお薬です。
寒気も関節の痛みもなく風邪の初期段階を過ぎていたり、服用量を間違っていたり、食後に服用したりしていませんでしたか?
正しく服用すれば、漢方薬はちゃんと効いてくれます。
葛根湯以外の風邪薬を使ったことがないという方も沢山いらっしゃるくらいなんです。
漢方薬の「証」とは?
漢方薬には、例であげた葛根湯など、今すぐに治したい症状の時に服用するタイプの他に、じっくり時間をかけて治療する体質改善を目的としたものもあります。
その体質改善の漢方薬には、患者さん一人一人の体質によって合うもの、合わないものがでてきます。
漢方医学では、人それぞれの体質の違いを「証(しょう)」と表します。
「証」は、若いか老いているか、痩せているか太っているか、暑がりか寒がりか‥など体質を細かく分類分けして、個人別に違いがでるものになります。
つまり、同じ症状を改善するにしても、「証」によって使う薬も違ってくるのです。
例えば、女性の冷え性を改善する目的には、暑がりか寒がりかなどの「証」の違いによって8種類以上の漢方薬が存在します。
したがって、ドラッグストアなどに並んでいる市販の漢方薬をお買い求めの場合、スタッフに相談せず自己判断で選んだ場合、自分の「証」には合わない間違ったものを購入し、効かないと言っている可能性もあります。
「証」は、かなり複雑な基準で分類されていて、素人では難しくて判断できません。
体質改善系の漢方薬を使いたい場合は、漢方薬に詳しい薬剤師さん在中の薬屋さんで相談しましょう。
色々と問診を受けますが、あなたに合った漢方薬を選んでくれるはずです。
薬剤師さんが在中されているのは、薬局か病院処方箋の取り扱いがあるドラッグストアになります。
参照記事:薬局とドラッグストアの違い
漢方薬の実際の効き目はどうなの?まとめ
漢方薬は、天然素材の生薬を組み合わせたお薬です。
体に優しい上、ちゃんした効果も期待できます。
ただ、用法用量を守り正しく服用することと、体質改善目的のものに関しては、薬剤師さんに相談の上購入するようにしてください。