新型コロナウイルス感染症による肺炎で入院中だったフリーアナウンサー赤江珠緒さんの退院が、パーソナリティーを務めるTBSラジオ「たまむすび」5月6日放送回にて報告されました。
赤江さんは感染当初は軽症と診断され、自宅療養されてましたが容態が悪化し、発症11日目より入院中でした。
5月1日にTBSラジオに寄せられたメールでは、アビガンの投与を告白されその重要性を語ってらした赤江さん。
新型コロナ感染の重症化対策に「アビガン」は本当に有効なのでしょうか?
アビガンは有効で安全なのか?
赤江珠緒さんが、5月1日にTBSラジオに寄たメールでは、アビガンの投与により肺の状態が改善したことを報告されました。
実際、アビガン投与で症状が改善に向かう方は多く、同じく新型コロナ肺炎で入院された俳優の石田純一さんもその一人です。
ならば、どんどん使った方がいいように思われますが、アビガンは本来インフルエンザの治療薬。
新型コロナ肺炎患者に使用することの安全性が確立されなければ、簡単には投与できない医学的な観点があります。
実際のところ「アビガン」は安全なのでしょうか?
赤江さんはメールで、
「入院してから、アビガンを処方してもらい、肺の状態が改善しています。ただ、皆様、ご承知の通り、このアビガン、催奇形性(胎児に奇形を起こすこと)などの副作用があるということで、まだコロナへの認可が下りていません」
と、アビガン服用の危険性についても説明されていました。
アビガンはインフルエンザの治療時に使用される薬としては承認済みなのですが、副作用の影響が大きい妊婦さんへの投与は禁止されています。
このことは、長期の試験結果や実際の投与データの蓄積によって決められます。
新型コロナに対しての使用が安全かどうかの判断にも時間が必要なのです。
そして、もう一つアビガンの使用については制限があります。
アビガンの使用についての制限
今のところアビガンを使用できるのは、アビガンの研究対象グループとして申請した病院だけとなっています。
赤江珠緒さんはメールでこのことについても触れています。
「現在、アビガンの研究を行っている機関と、そこに研究対象グループとして申請した病院しか使えないというのが現状のようです。ですので、ちまたでは、アビガンが使える人と、使わない人の差は何? 医療関係者にコネでもあるの? なんていう臆測まで飛び交っていますが、そういうことはないようです」
先に述べた、新型コロナに対してアビガンの使用が安全かどうか判断する為の研究が必要ということで、その研究対象に申請した病院でしか、今のところアビガンは投与できないのです。
入院した病院が、たまたま申請を済ませていた病院であれば、アビガン投与を検討できて、そうでないと、どんなに希望してもアビガンは使ってもらえない、ということになります。
医療現場のことをよく知らない私たちは、こんな時期なんだから全ての病院が申請をして、アビガンを使えるようにすればいいと、簡単に思いがちです。
しかし、その申請は必要書類などがかなり多く、越えるべきハードルが高い大変な作業なのだそうです。
しかし、妊婦さん以外の重篤化する手前の患者さんにアビガンを投与することは、赤江珠緒さんや石田純一さんの例からも大変有効であることは間違い無いようです。
有効な薬があるのに実用に制限があるという現状に、じれったい気持ちになってしまいます。
そんな中、6日の安倍総理の発言が大きな注目を集めました。
アビガンを特例承認に
先日の当ブログの記事『安倍首相と山中先生の生放送』でも紹介した通り、安倍総理は次のように述べられています。
「7日中にレムデシビルを、今月中にアビガンの承認を実現させる」
そして、その言葉通り、抗ウイルス薬の「レムデシビル」が7日に承認されました。
レムデシビルは、アビガン同様新型コロナウイルスに有効であるとされたアメリカ産の治療薬です。
通常であれば、医薬品の承認は申請から承認までに1年程度はかかってしまいますが、今回は「特例承認」ということで、異例のスピード承認を実現されています。
安倍総理は、このレムデシビルと同様に、アビガンも今月中に「特例承認」へ持ち込むことを宣言されました。
これは、赤江さんも含むこれまでの投与結果を受けての判断で、安全性にも問題ないことが医学的にも証明された結果であるといえるでしょう。
これで、多くの方の重篤化が抑えられれば、新型コロナは感染しても治癒できるウイルス、怖くないウイルスになります。
そして更に、このことに追い風となるニュースも飛び込んできました。
日本の医学は希望の光
7日のニュースで、北里研究所が、北里大学・Epsilon Molecular Engineering(EME)・花王の研究グループが新型コロナウイルスに対して感染を抑制する抗体の取得に成功したと発表したのです。
北里研究所は、「今回の成果は新型コロナウイルスの治療薬や検査薬の開発につながることが期待できる」との考えを明らかにしました。
『安倍首相と山中先生の生放送』にて、山中伸弥先生は
「開発に時間がかかるワクチンに対して、新型コロナウイルスに有効な「治療薬」は日本が既存で持ち合わせていて、世界的にリードしている」
「治療薬の研究が進み、効果的な使用が可能になれば、1年後には新型コロナウイルスはインフルエンザ並の扱いが可能」
と、日本の治療薬使用と研究によって、新型コロナは現在みたいな怖いウイルスでは無くなると言われています。
まさに、その言葉通りのことが今現実に起こっているのです。
アビガンも含め、日本の医療研究が希望の光となっているといえます。