新型コロナ、放射線治療との因果関係は…?

新型コロナ、放射線治療との因果関係は…?

2020年4月24日
新型コロナ

新型コロナウイルス肺炎により女優・岡江久美子さんが他界されたという、衝撃のニュースが昨日突然飛び込んできました。

所属事務所からのFAXによると、岡江さんは今年初めに初期乳がんの治療の為、放射線治療を受けられており、「免疫力が低下していたのが重症化した原因と思われます」との報告がなされています。

実際、新型コロナ感染と放射線治療との因果関係はどうなのでしょうか?

放射線治療は免疫力を下げる?

新型コロナウイルスの猛威は、基礎疾患をお持ちの方にとって恐怖の存在です。

特に現在、放射線治療を受けている方にとって、岡江さんのニュースは人ごとではないでしょう。

”放射線治療”とは、主にがんの治療で用いられる治療法ですが、症状に応じた様々な使われ方がなされるので、ひとくくりにして語れるものではありません。

ただ、今回の岡江さんのように「初期乳がんの手術後に用いられた」というケースにおいては、”放射線治療”は免疫力低下の直接の原因にはならないようです。

公益社団法人日本放射線腫瘍学会が、その影響力を鑑みて岡江さんの報道に対し、会員向けにコメントを発表されました。

その内容の一部を紹介します。

早期乳癌手術後に行われる放射線治療は体への侵襲が少なく、免疫機能の低下はほとんどきたしません。現在のところ乳癌術後の放射線治療が新型コロナウイルス感染症の重症化を招くという科学的根拠もありません。照射後の肺臓炎が COVID-19 感染により増悪する可能性は否定できませんが、適切に施行されれば照射後の肺臓炎発症のリスクは極めて低く抑えられます。

引用元:乳癌術後の放射線治療について 公益社団法人日本放射線腫瘍学会

早期乳がん手術後の”放射線治療”は、免疫力を低下させ重篤化を招く直接の原因にはならないとのことです。

むしろ、怖がって”放射線治療”を受けないことの方が、再発を起こす危険を招いてしまうようですので、治療を受けている方は中断せずに継続されて下さい。

術後の”放射線治療”は「乳癌の再発リスクを低下させ生存率向上をもたらすことが科学的に強く証明されている大切な治療」ということですので、安心して治療を受けましょう。

安全な治療法、危険な治療法とは?

早期乳がん手術後の”放射線治療”は、免疫力を低下させることはないようですが、その他の場合はどうなのでしょうか。

先にも述べたとおり、”放射線治療”は様々な状況に応じて様々な用いられ方がなされています。

なので、簡単な決まった答えは無く、そのケース毎に変わってくると言えます。

また、放射線治療ではなく”抗がん剤”による治療はどうなのでしょう。

一般的には”抗がん剤”の方は、免疫力の低下に少なからず影響を及ぼすようです。

しかし、こちらもやはり患者さんベースで、症状や進行状態・治療法も違ってきます。

一概にこの治療法は危険だ安全だとは言えないのです。

しかし、ただ一つだけ「答え」があります。

それは、どんなケースにおいても「主治医の先生の判断が正しい選択」であるということです。

マスメディアの報道を鵜呑みして自己判断してしまうことが最もやってはいけないことになります。

自己判断が最も危険!

がんに限らず持病を抱え、通院治療を続けている方にとっては、新型コロナウイルスの情報は常に耳に入れておきたいものですが、過剰に不安にならないようにしてください。

また、メディアの報道が全て正しいとも思わないようにしましょう。

メディアの報道は媒体などによっても信憑性が変わってくるし、時として意図せず誤ったものもあります。

少しでも不安なことがあれば、主治医の先生を頼り相談しましょう。

主治医の先生は医療のプロフェッショナルです。先生の判断に任せていれば何の問題もないのです。

安心して先生が施す治療を信じましょう。